映画「恋に至る病」

恋に至る病 2012年12月13日 黄金町ジャック&ベティ

上映後に監督のトークショーがついた回を観てきた。しかし17時55分で予告がないから厳しかった〜猛ダッシュしましたよ、道に迷ったけど。

ユーロスペースで予告を観た時に男の先生と女子高生と性器が入れ替わるっていう設定にびっくりしただけでなくて女子高生が先生をレイプ?とかいう見出しがセンセーショナルだったので気にはなっていて、Twitterで流れてくる感想をもろもろ見て「観ておくか」となった。ちなみにこの映画館では14日まで。Blu-ray上映ってなってましたけど、フィルムだって疑ってなかった・・・素人の目はその程度なのかも。(あくまで個人的な感想)

生物のコミュニケーション障害気味な先生(マドカ)を好きで好きでたまらない女子高生のヅブラ。「好きな人と絶対に離れられなくなりたい、何にも邪魔されることなくずっと一緒にいたいという思い」から先生の性器と自分の性器を交換すれば離れられなくなるという妄想を抱き、ある日半ばツブラがレイプするかのようにマドカと関係を持ってしまう・・・とマドカとツブラの性器が本当に逆になっちゃって!っていうお話。主な登場人物が四人という潔さ。オリジナルらしいけど、漫画が原作にあるって言ってもおかしくないポップさがあった。

映画始まってから20分間に物語の7割が起きてしまった!って思った。そこから更に20分間でマドカとツブラが「どうする、どうする」ってあたふたしているシーンが続いて(マドカの実家の場面)ちょっと長いなぁって感じた。男女が入れ替わる話っていうのは、古くは大林監督の「転校生」があるけど、あの作品ほど「男女性器が入れ替わって困って・・・」という葛藤はなかったような気がしたから。困ることが詳細でないというか。困っているというのが一方的だったせいか?まぁ見せられるものでもないから仕方ないか。

その「ん〜ちょっと長いな」って感じを打破したのがツブラの親友のエンで、エンはどんな男とつきあっても抱き合っても恥ずかしいとか感じなくなった風紀の乱れた不思議な女の子で、そんなエンの事が好きで、エンを啓発する!とつきあう出すのがマル。この二人がマドカの実家に乗り込んできてから物語りが動き出した感じがした。

観終わった時には微妙な感じがしたのは正直なところだけど、プログラム読みながら思い返すと後からジワる。授業や合宿と称してマドカの実家で勉強している内容「寄生」「共生」「中立」っていうのは、すなわちツブラとマドカの事であるし、そこをちゃんと押さえていると「なるほどなぁ」って思いながら観られたんだろうな。ちょっと先にプログラム読んでおくべきだったかもしれない。(というのも、プログラムの中の漫画は監督が描いたもので、この物語の始まる前の事を描いている、とのことだったとアフタートークショー聴いたから(^^;))

妄想少女ツブラとコミュ障教師のマドカの話より、恥ずかしさを忘れたエンちゃんの話の方にドキドキしたんだけど、これは設定上の、多分リアリティの違いなんだろうなぁって思いました。(エンは実はツブラが好きで、その気持ちを告白する=恥ずかしい事だった。)佐津川さん、すごく良かった!恥ずかしさを忘れてしまったところと恥ずかしさのギャップが良かった。キスシーンが最近観た映画の中で一番可愛くてセクシーだった。全くマドカ、邪魔すんなよ!って思っちゃったし(笑)
(ふっとツブラは敦子ちゃんではないけど、エンちゃんって敦子ちゃんやったら結構Coolじゃないか?ってちょっと思っちゃった。キャラクター的にこういうの観てみたいかも。)

エンを啓発指導する童貞幼馴染のマル(染谷くん)は初版映画「桜の園」に出てくる三上祐一にそっくりなんだけど(^^;;見られることの意識がない身体って設定?が童貞高校生っぽかった。エンちゃんが超ナイスバディだから余計に。

エンちゃんが恥ずかしさを思い出し、マドカとツブラはお互いに愛し合って、結局元に戻るのだけど、その後の校舎の窓からのショットに「好きって依存じゃない」っていう印象を持った。

マドカ役の斎藤さん、いかにも学校にいそうな気の小さい事なかれ主義的な先生で「いるいる〜」って思った。おにぎりをめっちゃ握りすぎだよ!と無駄なところをツッコミつつ、彼もツブラと一緒に成長していったのが微笑ましかったです。

ツブラ役の我妻さん、トークショーでもお話あったけど、本当に漫画から飛び出てきたみたいなキャラクターで明るい太陽みたいでした。衒いがなかったから観られたんだろうな。結構過激なんですけど頑張ってたな。あ、最後に二人が愛し合っちゃうところで、服を脱いでいくところからの下りが、モノが違うとなんというかポジションも変わるのか?って思うような「立ち位置」になっていて、ここはちょっと笑えた。はっちゃけていて、苦役列車では司会者役だったみたいだけど、面白いですね〜。今度注目してみようかな。

死に至る病とは絶望の事である」なら恋に至る病とは切望の事なのかもしれませんね。

※音楽、主題歌がポップで良かった!

監督:木村 承子
配給:マジックアワー 公式HP