宙組「Never Say Goodbye〜ある愛の軌跡〜」

2006年06月25日宙組「Never Say Goodbye〜ある愛の軌跡〜」東京宝塚劇場

宙組トップのたかちゃんこと和央ようかとトップ娘役のふさちゃんこと花總まりの退団公演となる「Never Say Goodbye〜ある愛の軌跡〜」を見た。

まぁとにかく偽チケットが出るほどのチケット難で、私も自力ではダメで他力でなんとか1回見せてもらうことができた(ありがとうございます>Hさん)。チケット掲示板には交換目的の記事が沢山あって、つくづくトレード目的でチケットを取るのは止めて欲しいと思う。
とにかく1回なので、今までにないくらい集中して見ないとねってことで、事前に友達に絶対外しちゃいけない見所を教えてくれと聞いたら全部という(笑)見終わった後、納得しました。
それとさ、ベルばらを上演している劇団と同じ劇団の作品とは思えないような中身の濃さがあった。このギャップってまずいんじゃないのかなぁ。

あらすじについては、宝塚の公演案内のページを参考に。

なんといっても小池先生と、ジキルとハイドのワイルドホーンのタッグ。悪いはずはない。久しぶりに口ずさむことのできる主題歌。台詞や歌詞に愛があって、無駄のない舞台のセットと展開。プロローグから最後まで「THEミュージカル」な作りに満足しないはずはない(はず)。

宝塚の作品には、実在の歴史をベースにした作品が多い。例えば最近だと「プラハの春」や「スサノオ」(神話だけど)、見ていないけど「暁のローマ」もそうか。この舞台は、ハリウッドで出会った二人が、スペイン内戦に巻き込まれていく設定になっているため、スペイン内戦当時の世界のファシズムの動きや、ソビエトが介在していく動きなんかがあって、プログラムを事前に読んでおかないと、途中で頭が混乱してしまう恐れがあるなぁと思ったのだけど、むしろ前出の作品よりも違和感なく話が交通整理されていて、全然訳わからない状態にならなかった。エピソードのキーになる人(主役以外で言えばアヒちゃん)のキャラクターが支離滅裂になっていないから、畳み込んでいても、消化不良にならない。

扱っているのが社会主義ファシズムや民主主義って、結構舞台に乗せるにはナーバスなテーマだったりするのだけど、キムシンのように主人公に一方的に自分の考え方を言わせて押し付けられるような演出ではなく、歴史はあくまでもそれは背景であって、主軸となるのは歴史の波に飲まれる人々で、そこに生きる人々のストーリーであるというスタンスがあって、抵抗感がなく見ることができた。

まぁ、そういう理屈っぽいことを言わないでもいい。
スカステで千秋楽の挨拶を観た後にすっかり目からうろこが落ちた後で私はつくづく、すごいぞ二人とも!と感動しちゃったから。以下、支離滅裂だけど、許して。

たかちゃんはずんこの後の宙組をホントによく支えて、正直ふさちゃんの相手役か?と思うような作品もあった。そのたびにたかちゃんファンの方々は忸怩たるものがあったやにいうこともあるようだけど、だったら誰がふさちゃんを支えられる?。高嶺さんとふさちゃんが20世紀の私のベストコンビだったら、21世紀のベストコンビはたかちゃんとふさちゃんだと思うくらいだし、たかちゃんの相手役を誰がやったら納得するのよ?とさえ思う。それを実感したのが、キャサリンが今まで付き合ったのは3人とか言った後に、

「いいよ、言わなくて。今の君がいればそれでいい。」

ってなことを言った瞬間。マジ、たかちゃんがお釈迦様に見えた。このでかさ、身長だけでなく、どんだけ広い心を持ったトップかってのがリアルに見えたんだよね。なんでもない台詞だけど。

ふさちゃんは、とにかくこれだけああだこうだ言われても続けていたことはすごいし、どんな役をやっても全部演じ分けられていたのはすごいことなんじゃないか?って今更思うんだよね。小池先生は今回さりげなく離婚歴のある女で付き合った男性が今まで3人なんて話をさらりと言わせているけど、こんなキャラクターって今までなかったんじゃないかな。最後の最後まで、生徒に一歩高みを与える小池先生もすごくて、それを巧く演じてしまうふさちゃんは「すげぇ」って思う。

そんなに声を張り上げて持つんかい?と思うくらいの熱唱をするキャサリン
涙と鼻水をたらしながら、愛を歌うキャサリン
初めてのキスで恍惚の表情を見せちゃうキャサリン。(あまりにも呆然としているんでホントにしてんのかと思ってしまいましたが)

ジョルジュとキャサリンの孫まで演じてしまうふさちゃん・・・最初は若いもんでもいいんじゃない?という声も聞いたけど、やっぱふさちゃんで正解だったよな。
超越してる・・・って感動した。すげぇよ、ふさちゃん。最高だよ。

そしてこの二人、最初のジョルジュのアパートでのシーンで私は思ったね。

恋に落ちる瞬間があるんだってことを信じさせてくれるコンビだ。

って。
嘘臭さがないの。もちろん舞台は虚構だけど、嘘の中の真実っていうんでしょうかね。この場面で「今、恋に落ちた」って幻の声が聞こえてきたのだ。でもってそういう二人がめちゃくちゃ羨ましいって思った自分もいた(笑)最近、宝塚でそういう風に思ったことがなかったから新鮮だったね。
あと、「信頼」。「愛」と「信頼」それが舞台全部にあふれていた。二人だけじゃなくて全員にあふれていた。

たにちゃんの張り上げる歌も・・・我慢できるし、アヒの歌も相当成長していたのもよくて(たまにひっくりかえっていたけど)、るいちゃんの嫌味キャラも良かったし、まちゃみのエロスには久しぶりに萌えた(笑)(自分はオヤジの血が流れていると痛感しました。)たっちんの堂に入ったソロは「たきちゃんか?」と錯覚したほどだったのと、えつこのいっちょ噛みな小芝居は好感が持てる。宙組のおっきな男役が3人揃って踊られると「やっぱり男役ってカッコいい!」と興奮しちゃうし、ロケットの美影さんは相変わらず口元が可愛い〜♪あぁ、いいね〜宙組

ソビエト(?)の旗をむしりとり十字架が出てくるところなんて、エリザベートのハス!かななんて思ったり、冷静に見ると美人の女性が敵側の運動に加担してしまう結果となって、敵側の大将が横恋慕して・・・っていうのはプラハの春だったりするんだけど(笑)、全部ひっくるめて歴史は背景の一つで、大恋愛ストーリーを描くという目的を達成した作品だった。

あぁ、もう一回みたいなぁ。