メイちゃんの執事〜私の命に代えてお守りいたします〜

書くと言っておきながら、この時期になってしまいました。次の青年館作品を見ることになったのでその前に星組メイちゃんの執事」の感想を書きますね。

これは漫画原作で、テレビでも水島ヒロが主演してるものの舞台化。演出はカナダ研修帰りの児玉明子先生(慶応卒の20代の演出家ですが、風貌がいつまでも学生な感じ。バウ作品が多かったですが、大劇場公演でもデビューしています。)です。ホームページでヅカネタを展開していた頃からお知り合いの方はご存じかもしれませんが、私、結構児玉先生買っています。よく同じ時期に活躍を初めた(若干向こうの方が早いけど)植田景子先生と比較すると、圧倒的に児玉派ですね。二人の先生の作品から受ける印象として、景子先生は自分が好きな宝塚をマニアに追究するけど、児玉先生はマニアな宝塚ファンが好きなテイストにしてくれると思うから。児玉作品にはご意見いろいろあると思いますけど、今の歌劇団の作品の作り方が編成ありきなところから考えれば、与えられた題材の料理の味を追究している児玉先生の姿勢を評価したいと思います。(だから未だに「エンドレス・ラブ」はいろんな意味で名作だと思います(笑)。)

さて、本題。
正直、宝塚と執事の組み合わせ、何故今まで無かったのか!という衝撃すらありました。今回ばかりは編成会議よ、グッジョブ!たまには良い仕事するね、と。漫画を演出するなんて齋藤先生(男性の若手演出家で、作風が結構二次元。でも座付きの仕事である当て書きは結構上手い。)で当ててももおかしくないところを”むしろ少女漫画系”の児玉先生に当てるあたり、組み合わせ良かったです。

男役にときめいているファンって、究極「俺がお前を守ってやるよ」的な、ひっぱっていかれたい欲望があるように思うし(思うし、というのは私が娘役ファンだから)、そういったキャラクターが無理なく描けて、なおかつ格好良くて、かしずかれたい欲望を満たせる・・・執事ぴったりじゃないですか!漫画だから多少ぶっとんだ演出でもOKだし、これをバウホール(本拠地の宝塚にある500人規模の劇場のこと)で勉強させる若手主演作にしたのは成功だったと思います。ドラマもちょいちょいつまみ食い程度に見ていただけですけど、そういう私でも十分に楽しめて、もう一回みたい!と思った、娯楽感のある作品でした。

主演の理人役のベニー(紅ゆずる)は、私はそれほど圧倒的に格好いい〜とは思っていませんが、いつも冷静なこの執事の役(水島ヒロのやったS級執事)はそれなりイメージに合うものだなぁと思いました。メイちゃんを巡ってシリアスになる場面より、コミカルな部分の方が好きですね。あと歌はもう少し頑張って欲しいな。

メイちゃん(音波みのり)は、楽しそうに演じていたなぁと思いました。こういう現代のの子の役は珍しいですからね。「愛と青春の旅立ち」の時同様、いい役所だったと思います。

意外にも、ドラマの健くんのイメージにぴったりで、一番違和感を持たなかったのが剣人(美弥るりか)。いや〜〜ぴったりで、多分、剣人にキュン死しているファン、たくさんいるんじゃないですかね。これは美味しい二番手役といってもいいと思いますし、のびのび演じていたのではないでしょうか。

ルチア様の執事の忍(真風涼帆)は雰囲気がミズ。金髪だったことがあったからか、ちょっと私、アオセトナを思い出してしまいました。

そして、私が今回見たかったのはルチア様の白華れみちゃん。エキセントリックで、怖いけど、幼い少女の恋が壊れてしまったために心を病んじゃった(といっていいんですよね)あたりが、良かったです。れみちゃんを見られてかつをは満足でした。ふと彼女を見ていて紫ともちゃん系な感じがしました。

他にも若手がたくさんでているし、面白かったのだけど、何せ新人公演を全然見なくなり、本公演も1公演1回くらいのペースだと、若手の名前と顔が一致しない。「誰誰!!???」と思わずプログラムを買ってしまうような若手、出てこいや〜〜〜!という気もしないでもないですが、それだったら観にこいや〜〜〜〜!と言われそうですね(苦笑)

演出の面では、スクリーンでの影の使い方、映像を大道具にする見せ方、幕を下ろさずの展開の仕方が上手かったです。これだけでも研修の効果があったと思いますね。児玉先生のオリジナルで大劇場公演を観たいです。

笑えて、結果的に本当に悪い人が出てこない。一般受けするけども宝塚テイストが満載のいい作品でした。こういう作品、もっと観たいなぁ。