あしたの私のつくり方

2008年に急逝した市川準監督の映画です。主演は成海璃子ちゃん。あっちゃんが共演していたのでTSUTAYAでレンタルしてきました。

見終わった後、「これ、女子高校生が見る映画じゃないな」って思ったら、監督のホームページには以下のような紹介がされていました。くどくどあらすじ書かずに引用します。

・・・・・・・・引用・・・・・・・・

大人になった少女たちに見てほしい物語があります。

10代の少女たちが、本当の自分を求めて揺れ動くさまを瑞々しく切り取った真戸香の同名小説を映像化した思春期ストーリー。 主演に今、最も注目を集める成海璃子と映画初出演の“AKB48”の前田敦子が思春期に揺れ動く少女を瑞々しく演じる。 学校では仲間はずれにされないよう目立たず、家では離婚した両親に気遣って良い娘であろうとする少女・寿梨。自分を偽ることに違和感を抱いていた寿梨にとって、クラスで人気者の日南子は憧れの存在だった。ところが、中学受験に失敗した寿梨が久しぶりに学校に戻ってみると、日南子は学級会の進め方が原因で突然クラス中から無視される存在になっていた。その後中学校でもイジメられていた日南子を気にしながらも何も出来ずにいた寿梨。やがて高校生となった彼女は、日南子が転校していったことを知ると、コトリと名乗って自作の物語を日南子に携帯メールで送るようになる。それは転校生の少女ヒナが人気者になるためのノウハウが綴られた“ヒナとコトリの物語”というものだった……。

・・・・・・・・引用終わり・・・・・・・・・・

璃子ちゃん演じる寿梨は、文芸部の生徒で、”ヒナとコトリの物語”を日南子に送りながらも課題として書き続けております。この作品の中で太宰治の小説から「お前は嘘がうまいから、行ひだけでもよくなさい。」(『晩年』)という一言が出てきて、嘘と行いということが、物語のキーになっていました。日南子も寿梨も本当の自分と偽の自分とはなんだろう?という疑問を抱えつつも、その役回りを演じていました。

璃子ちゃんは、あっちゃんより1歳年下で、今18歳ですか。この当時は14歳だったみたいですけど、本当に芝居が上手い。「瑠璃の島」の時にも上手いなぁと思ったけど、本当に上手いです。市川監督もインタビューでべた褒めしていますもん。二人とも小学生から高校一年生まで演じていて、小学生の時も中学生の時も全く違和感がない。これは驚きでした。ラスト近くの長回しのテレビ電話の場面でも、すごいタイミングで涙が出ていますので、ここは必見です。

あっちゃんは、小学生の姿があまりにも小学生で(笑)璃子ちゃん以上に衝撃でした。この作品の中でどの程度一般的に評価されたのはわからないけど、私が思うに、日南子のキャラクターにキャスティングしたことは万歳でした。ヒロインじゃなくても、こういうしどころのある役で映画見たいなぁ。
私、あっちゃんのすごく陰のある一面が好きなんですが、この日南子は小学校あと二ヶ月のところでいじめが始まり、中学校までずっとそのハブられていて、他人にある意味心を閉ざした少女だった訳なんですよね。そこらへんのじとっとした部分が、リアルに感じられて、嬉しくなりました(変態ではありません。)だから、最後のテレビ電話で、寿梨に対して自分の気持ちと感謝を伝える姿が好対照になったと思います。
小学校の卒業式後の図書館での場面は、決して台詞回しが上手いとは言いませんが、とんがったところが感じ出ていました。
特に印象に残った日南子の台詞があるので(テレビ電話での場面)ちょっと引用して終わりにします。

・・・・・・・引用・・・・・・・・
二人とも本当の自分をさらけ出して傷つくくらいなら、与えられた役を演じる方がいいと思っていた(中略)
いつかは本当の自分になりたいってずっと思っていた
だったらなればいいのにね 誰も止めてないんだから
私は今日、今ここに生きている私が本当の私だって認めるのがいやだった
だってかっこ悪くてイケてないんだもん
偽物の私だから仕方ない そう思っている方が楽だった
けど、わかったの 臆病な私も 演じている私も 全部私なの
逃げたい私も 嘘つく私も 傷つく私も 私なの
まだちょっと怖いけど でも自分なりにまずは一生懸命に生きてみようと思う
だって今日嫌なことがあっても 明日はいいことがあるかもしれないから
・・・・・・・引用終わり・・・・・・・・

・・・あっちゃん、この台詞、今、感じてるんじゃない?

書店に平積みされている「自分探し」の本も、中身は、つまりは自分を受け入れることから始まるわけでしょう。
そんな訳で、迷子の大人には、新鮮な一作になりました。

追伸 途中で「えれぴょん?」と思ったら、タイトルロールを見て、AKBメンが結
   構出ていたことに気づきました。