「Kinky Boots」

「Kinky Boots」2013年7月27日(土)14:00〜

トニー賞を「Matilda」と争った「Kinky Boots」。サイトではすでにはるか先の予定までSold Outで諦めかけていたところを、一縷の望みを賭けてJFK空港から劇場に直行した。劇場の窓口には誇らしげな「Sold Out」の張り紙があったものの、外に並んでいる人がいたから並んでみた。10時30分くらいになって係員の方が説明をするのだがあまりに早くて全く聞き取れない。仕方ないので地元の方が質問をし終わった後で、係員を捕まえて質問したのだが、お気の毒な顔をされてしまうくらいのお粗末な英語(笑)ただラッシュチケットは出ない、今並んでいるのは全部立ち見になる、2時間前からロットリーチケットが出るということがわかったので、とりあえずホテルに荷物を置きに帰った。

ロットリーチケットは抽選で当日券を出すというもの。この日は20枚でて二階の両サイドのバルコニー席(だけど見切れない良席!)を37ドルだかで出してて、当たった人が羨ましかった〜。私は外れたのだけどどうしても諦めきれず、キャンセレイションチケット(要はキャンセル待ち)の列に並んで、ちょっと値段は張ったけど購入。でも入ってみたらセンターブロックの前から4列目というものすごく観やすい席だった!(OMG!)

さて、長い前置きの後の本編。もともと日本のBSでトニー賞の授賞式を放送していた時気になっていたのだけど、元は映画ということで…いつものように映画を観る時間はなくやってきてしまった。ただ、曲がシンディ・ローパーということでこれは面白そうだ!とすごく楽しみにしていた。

話は、
父親の突然の死により、倒産寸前の靴工場を相続した優柔不断な青年チャーリー。工場の起死回生に頭を悩ませる彼は、襲われていると勘違いして助けようとしたドラッグクイーンのローラからインスピレーションを得て、ドラッグクイーン用のセクシーなブーツを新商品として開発しようと思いつくが…というもの。ストーリーがわかり易かった。(とはいえ、どっかんどっかん笑っているところのニュアンスが全くわからなくて本当に残念過ぎた。)

優柔不断なチャーリーには上昇志向で外面ばかり気にする婚約者がいて、彼女との生活も大切にしたいけど、跡を継いだ靴工場の社員を路頭に迷わせるわけにはいかない。
ドラッグクィーンのローラは、チャーリーとセクシーなブーツを作るために力を尽くすものの、チャーリーの工場で長年働く職人から反発を食らう。
彼女とも別れ、周りの協力者たちとも衝突し、ついにローラとも衝突してしまうチャーリーを救ったのは彼の熱意で、そんなチャーリーを観ていた社員たち。起死回生のファッションショーで、協力を得られないと思っていたチャーリーにハプニングが起きる!

チャーリーが大人の男性に成長していき、周りの社員たちとの関係性に成長が観られるし、チャーリーの「真心」を理解する女性と最後は結ばれるというハッピーエンドが観ていて爽快だった。チャーリーに一番反発していたドンとの絡みは涙が出てきた。単にケレン味ばかりが目立ちそうなドラッグクィーンの場面は、本当にスタイルが良くて綺麗な人が多くニューハーフなのか単にドラッグクィーンなのか良くわからないくらいだった。ダンスのシーンのダイナミックさ、観ててアゲアゲな気分になる、まさにドラッグな気分である。そう考えると、喜怒哀楽、涙も笑いもありの、全方向開放型のミュージカルで、良くできているなぁと思った。さり気なくゲイ文化も盛り込んでしまっているもんね。

そしてやはりこの公演はシンディ・ローパーが作曲しているので、特筆すべきは歌なんだけど、スローな曲もいいのだが、シンディらしさというか、アッパーな曲のノリの良さがなんとも言えないくらい最高なのだ。思わず踊りたくなるくらいでCD買っちゃった(笑)特にドラッグクィーンたちがガンガン踊りまくるナンバーの部分に力入れただろ!?って思うくらい、ノリが良かった。(正直、ローラ役のBilly Porterは思ったほど歌が得意そうに聴こえなかったんだけど、調子悪い時の聴かせ方がうまいなって思った。)男性の中ではドンの役の方がうまかったのと、チャーリーの事を好きになる社員のローレンの方が「上手い!」って思った。(いうても、アンサンブルでも音を外すような人はいないですよ、そこがさすがブロードウェイ)

見ながらこれ、日本でやるとしたら、チャーリーとか他のキャストはまぁ誰かができても、ローラ含めてドラッグクィーンの役は岡幸二郎が7人いないとダメじゃないか?って思った(笑)それもちょっといっちゃった系のね。正直、劇団四季ではやってほしくないなぁ、だって遊びココロなくなっちゃいそうなんだもん。あるいは宝塚の長身揃いの組でやるとか、それならありかもしれない!

決して大きな劇場ではないので、セットチェンジも大掛かりにできないが、いわゆるローラーコンベアーを廻り盆のように使って振り付けをするところの工夫や、多くのセットを使っていないけどちょっとした転で場面をあっという間に変えるところも唸ってしまった。

とにかく観られてよかった作品。できたらもう一回体調を万全にして観てみたい作品だった。