門間雄介×『BRUTUS』編集部「女優で映画を選ぶ」
門間雄介×『BRUTUS』編集部「女優で映画を選ぶ」
2012年11月03日 本屋B&B(下北沢)
出演 門間雄介(映画ライター:元『Cut』副編集長)
田島朗(BRUTUS副編集長)
中西剛(BRUTUS編集部)
『BRUTUS』(マガジンハウス)No.743特集「ブルータスの映画特集にちなんで催されたイベントです。この号の表紙は前田敦子ちゃんなので、それだけで即買いしたというのは本当のところですが(笑)元々映画を観るのが好きで、その特集の派生イベントなら何か面白いことがありそう!そんなノリで参加。
20時から下北沢で開始されるのに、ギリギリまで日本橋でイベントに出ていて、下北沢で飲み会前の大騒ぎな学生たちの間に迷い込んで迷子・・・。滑り込みセーフでございました。
下北沢の本屋にイベントできるスペースを作った様子で、本屋はサブカル的なものが多そうな品揃えで、なんというか田舎から出てきてる自分としてはいちいちこじゃれてて場違い感がぬぐえなかったです(苦笑)
それはともかく、今回のイベント参加して本当に良かった。2時間半「映画ってのはさ」的な上から目線ではなく映画に興味を持ってもう少しいろんなものを観るためにはどうしたら?という人に最適な内容で楽しかった。
前に違う映画イベントに行った時にはトークする人が「これはわかっているのが前提だからね」的なスタンスで話をまくし立てていたので、最後に結構腹ただしさが残ったことがあるのです。だから、門間さんをはじめ、BRUTUS側の方々も時に私たち側に立って楽しく進行していたのが印象的でした。こういうのがあると、雑誌の内容が膨らみますよね。
評論家のように精緻な情報を持っておらず、映画の系譜も理解していない、感覚で好き嫌いを語ってしまう私のような人間が、今から幅広く映画を楽しむには今回のような雑誌の企画で切り口を提案してもらえた事は非常に助かるなぁって思いました。
今回のBRUTUSの号が「女優」を切り口にしていますが、毎年この時期にBRUTUSは映画特集をしていて、毎年テーマを変えているそうです。今回表紙を敦子ちゃんにしたことでTwitterでの反応が賛否両論のすごいインパクトがあったようですね。(←AKB48のファンの方ならこの言葉でご理解いただけると思います。)「マエアツは女優なのか?」っていうお言葉もあったようで。
ただ、BRUTUSさんが今回表紙を敦子ちゃんにしたのは「女優について一番考えている人は誰だろう?」と考えた時に、女優になりたいと決意していた敦子ちゃんの決意表明を出してあげたかった、というところが大きかったようです。
門間さんも敦子ちゃんの女優へのこだわりをみて「昔はステージの高い仕事であった”女優(特に映画女優)”だけど、今、ギャランティはそれほど高くもない、何故この時代に女優になりたいのか?」と思ったそうです。
「あしたの私のつくり方」「もしドラ」「苦役」とご覧になってのシビアな発言もありましたが、「苦役」で彼女が演出側(山下監督)の手腕次第でこれだけ(演技が)違うんだと思わせる演技をしていたことを評価しており、人と何かをしていくというところでは才能があるのではないか?ともおっしゃっていましたね。
彼女自体が受け身な発言をしているところにも注目して、その不器用さを可愛いと思えるか応援していきたいと思えるかがわかれるところだとも表しておられました。ただ、彼女くらいあの世代の芸能人で映画を観ている人は少ないのではないか、と映画フリークなところは関係者からも一目置かれているのがわかり嬉しかったな。
女優をやっていくことでこれから人生が始まる、AKB48の枠から出て生きやすくなった敦子ちゃんの「女優」になろうと向かっていく気持ちを応援していきたいという話を伺って、敦子ちゃんには本当に後ろはもう振り返らず進んで欲しいと思いました。(ちなみに当日編集部の方、後日インタビュアーさんに伺ったところ、カットされている部分が多々あるようで・・・きっとエッジの効いた話があったんだろうなと思うと、残念でした。)
あらためてこの号は「もう一回ファンの目線で映画を観るときに、一般層に近いところで観るとしたら・・・の楽しみ方」の提案ができたのではないか、というコメントでした。なるほど、やっぱり!という感じ。
本当はこの話の中で、数々の映画が出てきて、そこに出てくる女優さんの逸話も数々あり、録音していたならばテープ起こしをしたいところですが、メモが取りきれず残念。中でも日本映画の中で旬の女優さんについてのコメントは面白かった。
複数回オファーを出したけど断られた二階堂ふみちゃん(苦笑)とか、覚悟の違う橋本愛ちゃん、天然感溢れる能年玲奈ちゃん・・・。そして女優4年サイクルの法則も非常に興味深い推察でした。
アイドル出身としては永作さん、満島さん、そしてグラビア出身の小池栄子さんの話、優子の話も出ていました。私は子役上がりの女優さん(志田未来、福田麻由子)の話もあると面白いなぁって思いましたね!
もちろん現役時代は知っていませんが「原節子」さんや「高峰秀子」さんのように、女優の存在感で映画を魅せられる人が少なくなった今だけど、確実に「この人が出るなら観よう」というモチベーションは自分の中にあります。というか、むしろ私は「この人がこの役をやるなら観てみたい!」っていうモチベーションで映画を決めると言ってもいい(大半は)。最後に門間さんが上げていた「女優でみる映画ベスト10」はぜひ自分も全部見てみようと思いました。
(1) シェルブールの雨傘(カトリーヌ・ドヌーブ)
(2) めまい(キム・ノヴァク)
(3) 浮雲(高峰秀子)
(4) こわれゆく女(ジーナ・ローランズ)
(5) アデルの恋の物語(イザベル・アジャーニ)
(6) しとやかな獣(若尾文子)
(7) ギター弾きの恋(サマンサ・モートン)
(8) 海辺のポーリーヌ(アマンダ・ラングレ)
(9) ブルーバレンタイン(ミシェル・ウィリアムズ)
(10) シークレット・サンシャイン(チョン・ドヨン)
あぁ、イベントに参加して、もっともっと映画を観たくなりました。時間とお金、ください!!(笑)