苦役列車舞台挨拶付き完成披露試写会に行ってきた!(ネタバレ注意)

映画「苦役列車」舞台挨拶付き完成披露試写会 2012年6月14日 有楽町朝日ホール

苦役列車の完成試写会を観てきました。平日発売のところを、友達が助けてくれて手に入ったチケット。本当に感謝です。有楽町朝日ホールも試写会も初めてで勝手がわかりませんでしたが、プログラムもくれてちょっと得した気分。

舞台挨拶はニコ生でも放送してたから割愛しますが、顔小さいし、立ってるだけで見栄えが良くて、話してる人の顔を見ながら話を聞いてるあつこちゃんが好きです。
本当に楽しそうで、山下組に参加できて良かったとすでに母心。
貫多と友達になれるか?という質問では、来るものは拒まずなんで、友達になりたいって言われて悪い気はしないから大丈夫って話をしていたけど、これみた単純な人はきっと個別で友達になってと言うに違いないw→はーい(^^;;

映画の感想をどこまで書いていいのかわからないのですが、ネタバレもあるかもしれません。ご容赦下さい。
これR-15指定なんですが、R指定してないと、間違って家族で観たら気まずいこと間違いない映画です。AKB48の前田のあっちゃんが出てるからお母さん一緒に観ようよ〜とかウッカリ隣同志で観たら、どんな顔していいのかわからないかも(苦笑)

もともと芥川賞を取った原作「苦役列車」を映画化したもの。事前に原作を読んだ時に、これ映画化しても面白いか?って思いました。暗いし、原作の最後は四十代になっても身勝手な適当さがあるくせに賞を狙ってギラギラしてるという終わり。これ、何を感じ取ったらいいのかなって。読み方が浅いためだと思うのですが、この小説から何を学び取ればいいのか、教示とまではいわないけど、どういうことが言いたいのかがよくわからなかった。

映画化では原作者は一切介入しないってインタビューに寄せていたので、どの程度外れた話になるのかと思ったけど、案外原作のテイストが出ててびっくりしました。びっくりの原因は多分会話。途中まで観て、会話の部分が意外に原作どおり使ってるところが多かったからだと思う。

こちらのサイトでは予告編が見られます。→http://youtu.be/qVY0w2Saa04

原作の世界観の再現という意味では、鶯谷の?のぞき部屋のあたりとか、酒場やあつこちゃん演じる康子がバイトをしてる本屋さんも、まんま昭和の雰囲気が出てて、良かった。あのロケ現場の雰囲気は原作の昭和のテイストですからね。居酒屋の雰囲気もいいです。
あと海のシーン、大雨の中でのシーン、極寒の中本当にすごいなぁと思いました。

Twitterで流れてくるマスコミ試写会の感想を読むと、原作にはないポップな感じって感想が多いんですが、私はポップというよりも19歳の”少年”と、本当は知らなくてもいい修羅場をくぐってきてしまった大人ずれした少年以上成人未満な男の顔が行ったり来たりしていて、その振り幅が軽快だなと楽しめました。

桜井康子(前田敦子)というキャラクターは原作にはないのですが、後半に日下部とその彼女が出てくる場面辺りから、かなり存在が効いてきます。19歳寛多の素直な恋愛への憧れの象徴でもあり、この二人の関係性があるから、原作を読んで感じていた中途半端さではなく、寛多を中心とした「青春映画」なんだと印象づけられた気がします。だって、のぞき部屋や予告編に出ている「やらせてくれよ」って言われている場面のところなんて、風俗へ通うことが快感を得るためというより社会への怒りをぶつけているように感じたんですよね。

演出として秀逸だったのが、康子の部屋で本を探す場面からの下り。康子を後ろから、なめるようにお尻を見ている寛多がもう一歩のところで水が入った訳なんですが(舞台挨拶にあったので書きますけど)厄介者扱いされてるおじいさんに尿瓶を当ててあげるシーンの、おじいさんのキレの悪い尿と(笑)そのキレの悪さに付き合ってて爆笑する康子ちゃんを抱きしめてしまいたくなりました。ここで着目して欲しいのは、康子ちゃんの表情の変化に加えて、あわよくばと狙っていた女の子があっさりとおじいさんに尿瓶を当てているところで寛多に圧倒的な負けの感情が出ているところ。森山くん、上手すぎます。

寛多と正二の関係性は、特に正二の言葉遣いを注意して聴いていると温度差がわかります。もちろん態度でも出るんですけど、親しくなって離れていくところの心の動きが、言葉に出てしまう・・・なんか見てて切なくなりました。「え、こんな言い方したっけ?」そう感じた時のふうっと風が通るような寂しさっていうんですかね。寛多が正二に最後に掛ける言葉にも注目して欲しいと思います。

寛多と正二と康子だけが青春映画だったかというとそうではなく、マキタスポーツさん演じる日雇い労働者の先輩、高橋岩男の存在も大きいです。予告編で「お前ら若いんだから夢を持てよ!」と寛多と正二に先輩風をふかして言うのですが(ある夢を追っているという設定)、原作にもある事故が原因で日雇い労働さえできなくなってしまう。それがきっかけで寛多に「不安」の感情が芽生えるのですが、怪我をした高橋との重要な場面で、今まで夢を持つことはばかげていると思っていた寛多に、心の叫びがあることをふいに自覚してしまうのです。その所で森山くんが見せる19歳の少年の表情が秀逸でした。

個人的にこの場面があってこの映画に共感できる!と思ったスイッチは康子と友達になれた夜に、アパートで康子ちゃんとどう会話しようかリハーサルしてる貫多を影で見せてるところ。あれを観たときに、握手会前にイメトレしてる自分と同じじゃねぇか、と一気に親近感が湧きました(笑)

森山さんは本当にすごいとしか言いようが無いです。見て下さい。本当にすごくてダメなんだけど、見捨てられない・・・けど多分友達になりたくないかも、なキャラを演じきっていました。最後の最後のシーン、圧巻です。

高良さんは性格のいい好青年で、育ちの良さがご飯の食べ方一つに出ていました。どっちがいいというのではなく、二人の対比があるから成立している映画ですね。

康子ちゃんは、すごく映画に溶け込んでて、そこに自然にいました。特徴のある声でコロコロ笑っているのを見ていると、寛多じゃなくても手を舐めたくなりますね(→変態)。勝手な想像ですが、演出の付け方から、康子はもしかしてすでに遠距離の彼と・・・?というような設定をしているような印象を受けました。(→どうしてそう思ったかは公開後に書きます。)作るでもなく、我を張るでもなく。あの姿を観て、卒業後に素直に女優前田敦子を応援するよって思いました。

森山さん、高良さん、あつこちゃん、マキタスポーツさん、それぞれがはまってて、前売り複数買いましたけ余裕で観られますね。青春映画でした。お勧めです。

7月14日から東映系で上映です!