うさぎドロップ

うさぎドロップ 平成23年9月7日(水)109シネマズMM

松ケンと今をときめく天才子役・芦田愛菜ちゃん主演の「うさぎドロップ」を見てきました。
ストーリーは公式WEBを見てくださいね。


愛菜ちゃん演じる鹿賀りんは、松ケン演じる河地ダイキチのお祖父さんの隠し子(ちなみに6歳!)。優しかったおじいちゃん(=父親)が亡くなったお葬式の時に、周りの大人達の無責任な押しつけに腹を立てて勢いでダイキチが引き取ってからの、二人の生活を描いた話です。ダイキチは子供も女性も苦手。ファッション雑誌のモデル(これが、二谷ゆかり役の香里奈)と自分を妄想の世界で踊ったりする女性に奥手な男性。そんなダイキチが”6歳の叔母”と同居することになる。仕事のバリバリのダイキチがりんと一緒にご飯食べたり、洋服を買いに行ったり、保育園の送り迎えをしたりと至って普通のイクメンの生活を描き、りんはりんで一時保育を経て、ちゃんと入園した保育園で出会った男の子コウキくんと仲良くなり、コウキくんと一緒に保育園を脱出して、ダイキチやゆかり、そしてダイキチの周りの人たちを巻き込んで大騒ぎになってしまうのです。

育児を描いた物語であって、特別なことではないんだけど、ダイキチとりんを囲む人たちが、とにかく優しい。世の中って捨てたもんじゃないと思いたくなる後味の良さ。ダイキチが育児のためにと異動を申し出た倉庫勤務での同僚は、いずれもいかつい男達ばっかりなんだけど、親ばか丸出しだったり、りんがいなくなったと飛び出していくダイキチと一緒に、荷物積みを放り出して探しに行くいいヤツばかり。最初はダイキチの子育てに反対していたダイキチの両親と妹も、りんの実母と会うために出かけたダイキチの代わりに面倒を見てくれる。これを見ていると、子供(時代)ってやっぱり愛されるためにあるんじゃないか、と思いますね〜。・・・実際はクソガキもいますけど、それって結構親もイカれている人も多いですからねぇ(私が大嫌いな、土日の夜にネズミの国から帰ってきてJRの中で傍若無人に振る舞う親とその子供みたいな)

りんはおじいちゃんそっくりなダイキチが「オレの家に来るか」と言ってくれて、その優しさの本質を見抜いていたわけだけど、松ケン見ていると自分の子供も絶対こんな風に優しい眼差しなんだろうか、と想像してしまうようなステキなイクメンなのです。お父さんではなく、友達でもなく、もちろん甥でもないんだけど、ある意味”大人の恋人”くらいな感じですかね。りんとのコンビが絶妙で、言葉の端端がとても優しい。惚れ惚れしてしまいました。

りんの友達のコウキくんの母ゆかりの香里奈は、旦那さんを亡くした後女手一人で育てている。一生懸命一杯一杯でやっているところに、コウキとりんがいなくなったと連絡を受け、撮影をすっぽかし探しまくる母親の姿が、リアルでした。りんが熱を出した時に助け船を出してくれたのもゆかりで、最後にダイキチも悪からぬ感情を持つのも頷けます。

他に脇役も充実していて、葬式の時に集まる親族程度の役なのに、秋野太作木野花根岸季衣、斎藤洋介、宮地雅子だし、りんの世話を申し出る女には高畑淳子、ダイキチの先輩で育児のために降格を申し出た後藤さんに池脇千鶴、ダイキチの母親に風吹ジュン、ダイキチの父親に中村梅雀、ダイキチの妹に桐谷美鈴、その彼にセカンド・バージンで鈴木京香の息子役もしていた綾野剛って・・・どんだけ豪華なんだっつうの!(笑)まるで愛菜ちゃんと監督のSABUさん効果じゃないかと思いましたよ。

そしてもう一人の主役の愛菜ちゃん。Motherの時もすごいとは思っていたけど、マジで北島マヤかと思いました。バラエティで変に消耗させないで欲しいと親御さんに言いたいくらいです。仕事考えて取ってきて!って(苦笑)。

登場のところから物言いたげな眼差しで引きつけられるのですが、極めつけは2場面目の葬式での最後のお別れのシーン。靴下のまま外に飛び出し、おじいちゃんが好きだったりんどうを摘んで、棺桶に入っているおじいちゃんに握らせようとするのだけど、死後硬直で握らせることができない。ダイキチが花をそっと手の上に置くと、「起きてこないの?」と諦めてりんどうをはらっと置く、っていうそのシーンだけでかつをさん号泣。マルモの時みたいなちょっとあざとい感じがなくて、普通の子供らしい子供の演技をしている子供っていうところに驚愕してしまうんですよね。

一番すごいと思ったのは、保育園のお遊戯会。愛菜ちゃんはKARAのヒップダンスが得意なくらいダンスは得意なんだけど、お遊戯会のつたないところがちゃんと出ているところがすごかった。(これはお遊戯会のメンバー全員に言えることだけど)大人ならわかるけど、普通のお遊戯の演技をしている子供なんだって・・・怖いわぁ。

最後に、昨日見た「ハウスメイド」はカップルではお勧めしないと思ったけど、この「うさぎドロップ」は結婚をちょっと考えてもいいかなというようなカップルに是非見て欲しい映画ですね。温かい気持ちになりました。