音楽座Rカンパニー「リトル・プリンス」

1998年に「音楽座ミュージカルを上演する会」が上演した「星の王子さま'98」を見て以来、宮崎あおいなどが主演した「星の王子様」もあったけど、ずっと封印し、音楽座Rカンパニーが再演することを知り、封印切りして見に行ってきた。「リトル・プリンス」RカンパニーのHPには、「星の王子さま」ではなく「リトル・プリンス」にしなくてはならない理由があったらしいが、正直そういった理念まではよくわからなかった。

このカンパニーが旧音楽座時代の作品を再演する時に、「わかりやすく」アレンジし、時事性を入れようとしているのか、不要と思える場面を追加してしまうことが気になっていた。(MMしかり)少なくとも98年に見た時には、なかったプロローグでの「飛行士と恋人のエピソード」や「他の飛行士に絵を見せて何に見えるか」聞く場面などは、確かにその後に出てくる場面の伏線になっているが、結構うっとおしかった。というのも、「星の王子さま」自体が、抽象の中に隠されているメッセージであり、見えないものを見る心(力)を信じることこそが観客に与えられたメッセージなのだから。それを見やすくしてしまうことは、本そのものの理念からはずれてしまうような気がしてならない。

そんなことに引っかかりつつも、観劇した。98年に見た時に、この本は大人のための本ではないか?と当時の私は感想を書いていたが、今回見てあらためて「この本ってこんなに哲学性があったっけ」と感じた。と同時に、強く感じた場面も変わっていて、ここ何年かの自分の変化を確認してしまった(笑)当時はきつねの場面で大号泣していたけど、今回は花の場面が一番ぐっと来た。たぶん、花にぐっと来たんだな。・・・って淋しいだけかい!(一人つっこみ)

奇しくも私が見た「土居・王子さま」と同じ場所(東京芸術劇場)での上演。比べるなというのは酷でもある。王子さま役の野田久美子さんの第一声に「Rカンパニーも土居・王子さまと系統が似たようなキャストをしたなぁ」と感じたのがまず最初だった。骨格が似ていると声まで似るのか、特に台詞を話し出すと少年っぽさがよく出ていた。ただ、あんまり身軽さがなかったような。元四季らしいけど、ダンスは苦手?声がひっくり返ったりしていたりしてもう少し安定するといいのだけど。

飛行士は外部から小林高鹿さん。近藤正臣さんを見た私としては、ぐっと若い飛行士でした。ナイロン100℃にもいた方らしく、お芝居が安定していて歌も悪くない。二幕になっていくとどんどん良くなっていって、最後の別れの場面では「あぁ本当に友達だ」と涙が出ました。

キツネは、どうもRカンパニーのホープというプロフィールの吉田朋弘さん。汗だくで頑張っていました。「泣かないで」の吉岡の時より良かった。しかし、個人的にはどうもこの人のキャラクターが苦手かも。スノッブすぎておもしろみがなかったです。

バラの花は井田安寿さんという方。この方も元四季らしいです。なんか多いんですよね、Rカンパニーは元四季が。声がもう少し遠くに気持ちよく飛んで欲しかったなという感じ。黄花の秋本みな子さんとのWキャストなので反対も見てみたい。

黄花は、前回「おおおお〜〜〜〜〜」っとびっくりした消え方がなかった(と思う。)振り付けが上島雪夫先生に変わったからなのかわかりませんが、前回は本当に砂漠にあっという間に消えてしまった印象がものすごく強かったんですよね。

ヘビは上島先生の弟子?なのかわかりませんが、森川次朗さん。この人、ものすごくヘビでした。カッコイイし、終演後サインもらった人の中で唯一握手してくれたいい方でした(笑)

個人的には点灯夫の山合大輔さんとか、王様の藤田将範さんのキツネとか見てみたいんだけどなぁ。

Rカンパニーも、旧音楽座時代の作品ではなくて、オリジナルの新作を上演すればいいのに。なんか比較してしまって、正直楽しめないんだな。・・・と思ったのだけど、ロビーで「星の王子さま」の復刻版CD(土居王子、畠中きつね、石富バラ、石原飛行士)を3000円で売っていたのでまんまと買ってしまいました。あざといなぁ(苦笑)だったら、復刻版DVD出してくれ!

2006年11月11日(土)13時公演 東京芸術劇場