West Side Story

2004年12月25日(土)青山劇場「West Side Story

少年隊のプレゾンで上演された「West Side Story」がキャストも新たに青山劇場に帰ってきました。今回は主演を嵐の3人(櫻井翔大野智松本潤)でもって、私的な目玉は宝塚の現役生2人〜それも私のお気に入り〜がマリア(和音美桜)とアニータ(天勢いづる 何故伸ばす?ってすわり心地が良くないんですけど)で出演ということも観劇欲をそそられるものでした。演出・振付はジョーイ・マクニーリー。前回と同じようです。東京がファーストランで、年明けに大阪で上演されました。

前回と同様に、あまりにもプログラムが高くて買いませんでした。3000円したら宝塚の立ち見できんじゃん!って思ってしまうくらいの私なので、ポスターやらプログラムやらをバコバコ購入していくいたいけな若者の姿を見ると、気の毒になってしまったくらいなので。そんなわけで、極端にキャスト情報が少ない中、感想を書くことをお許しください。

わかる範囲のキャストです。
トニー:櫻井翔 マリア:和音美桜
リフ:大野智 ベルナルド:松本潤
アニータ:天勢いづる アクション:生田斗真
チノ:風間俊介 Aラブ:山下翔央
ベイビー・ジョン:東新良和

でした。アクションの生田くんは、少年隊バージョンではAラブだったそうです。どうりで見覚えがあると思いました。

今回もアンサンブルは20代後半から30代前半までのダンス巧者が入っていたのと、女性陣での目玉は、元音楽座の今津朋子さんではないでしょうか。宝塚で言うところのロザリア役だと思うんですが、アニータと「アメリカ」の場面で唄うところなんぞは、唄いだした瞬間に「あ、今津さんだ!」とわかる。前回シルビア・グラブさんをかなり勿体無い使い方をしてくれたもんだから、今回は嬉しかったですね。久しぶりにお目にかかりましたが元気そうで良かったです。

キャストの感想をから先に書いてしまいましょう。

ジャニーズは東京グローブ座を買い取ってから、積極的に舞台に進出しており、今回のキャストの中でもおそらく大野くんが一番舞台のキャリアがあったと思います。その舞台キャリアの差がもろに出た、というのが第一印象でした。大野くんは台詞回しがニッキそっくりなのが気になりましたけど、歌やお芝居が安定していて、一番良かったのが「Cool」の時にダンスが遅れなかったこと!これはホントむごいけどそう思いました。

松本くんは髪を逆立ててとんがり具合が良かったのと、舞台で立つにはもう少し身長があるといいなぁという男性陣の中でも比較的大きかったこともあり、見栄えが良かったです。ダンスの時にもアニータを肩に担いでぶんぶん振り回し、観ていて惚れ惚れするくらいでした。彼は結構男気を感じましたね。キャリアを積めばかなりよくなるような期待感を持たせました。

トニーの櫻井くんは、恐らく舞台は初めてではないかと。複数の場面ではまだいいのですが、一人きりの舞台になってしまうと突然自分の身の置き所がわからなくなってしまうような、手の持って行き方がわからない初めての文化祭、のような感じになってしまうのが残念でした。そんな風だから、体が小さくなってしまって非常に姿勢が悪く見えたのでした。はっきり言えば舞台上の有り様がかっこよくないのです。本来、舞台は主役がかっこよく演出されているはずなのに、それが活かされないのが残念でしたね。ただ、見た目は茶髪にしているから少なくとも「日本人のトニー」には見えなかったし、彼の甘いキャラクターがトニーには合っていました。この3人の中ならトニーは納得かも。マリアに対しての優しさも良かったし。マリアを絶対に落とさないという気合!男だねぇ〜〜櫻井だねぇ〜ってことで、今後に期待したいですね。

トニーの姿勢が悪いといいましたけど、もっと姿勢が悪くてちょっと問題だなと思ったのがチノの風間くんでした。彼はテレビで見ていて結構気に入っているんですけど、舞台で見たときに思い切り腹が出ていて、猫背で、ものすごく小さく見えてしまったのです。あの姿勢を正せば、もっとかっこよく見えたはずなのに本当に残念!ああいう指導をしてあげる人はいなかったのかなぁと思いますね>製作者側。

アクションの生田くんは、迫力ありすぎて、アニータがドクの店でまわされてしまうところは観ていられなかったです。生生しすぎて。救いがないなぁと・・・ま、その救いのないところがアクションというキャラクターの哀しさなのかもしれませんね。

シュランク警部の渡辺哲さん。あくが強くていかにも〜ですが、なんだか台詞を聞いていると苦しそうで、観ていて苦しくなりました。今にもばたっと倒れてしまいそうなんだもん・・・。
でドクは今回クレイジーキャッツだった犬塚弘さんでした。お芝居は今回のキャストの方が好き(もう、好みの問題)。アクションはドクに悪態をつきますが、ドクを観ていると「これぞ老婆心」以外のなんでもなく、残念ながら年を取ると彼らのやっていることがいかに虚しいかをわかってしまう刹那さがよく出ていました。

そしてそして、我らがジェンヌ!
マリアには宙組和音美桜ちゃん。この方の歌の上手さは、バウ「里見八犬伝」で衝撃となり、本公演・新公でもちょこっとですが片鱗は見えていたところであります。ですが、今回のマリア、柔道・金メダリスト野村忠宏級の一本勝ちだったと思います。ジャニーズの舞台に出るという劇団側のプレッシャーは、即戦力がある人材を出すことでしか撥ね付けられないとでも言わんばかりであったと思います。クラシカルというよりは、ミュージカル向けの声質だったんだなぁと改めて感じました。歌が上手いだけではなくて、芝居心もありました。櫻井くんの優しくて甘いトニーと一緒にいると、このトニーとマリア、この二人が迎える結末が本当に気の毒で。特に最後トニーがチノに打たれた後の、いわば最後の締めのところは迫力ありました。

アニータは、いづるん。ドラマシティで娘役へ転向し、二作目が外部でアニータというのは、私はとてもよかったと思います。だって、周りが絶対的に男だし(笑)無理なくいづるんは女だったから。次に宝塚の舞台でいづるんを見ても、多分私は無理なく娘役として見られる自信があります。
彼女はかなり華奢で、むしろマリアの「華奢なの♪」とかいう台詞はいづるんが言った方が説得力があるんじゃねぇか?的な突っ込みを入れたくなる私であります。華奢すぎて、ドクの店のシーンはいづるんの絶叫のリアルさとあわせて痛々しかったです。いやスカートがまくられるたびに目を覆いたくなりましたもん。いづるんもダンス巧者だけあって、ど〜んとした迫力はともかく、ダンスの場面はきれいでした。つうのは、やっぱり男性陣は宝塚みたいなきれいさよりも、崩した感じのダンスを多く踊っている人たちだったから。マリアも含めてやっぱり舞台で映える踊りってあるんだなと思いましたね。そしてマリアとのデュエット。これは星組新公の時のハニーと京ちゃんの印象がとても強いところですが、いづるんが上手く合わせて(上級生だけあって)マリアを唄いやすくしていたんではないか?と思いました。
いずれにしてもこの二人、これだけの舞台でこんなに活躍したのに、宝塚に戻って通行人の女Sとかだったら怒るよ〜〜〜と言いたい私なのです。どうか本当にこのキャリアを活かして下さいと劇団にお願いしたいです。

全体的にキャストが若返った分、違和感はなくなった今回の「WSS」前回同様に歌の歌詞がどうしても耳にひっかかってしまったのは否めません。なんでかなぁ、歌詞がこなれていないのかなぁ?インプリンティングされすぎているのかもしれませんけど。
場面的には、エニーボディズの活躍の場面とか、少年達の動きとかがあってわかりやすいところもあり、今後宝塚で上演することがあったらぜひ取り入れて欲しいです。
ともあれ、この作品がこれからジャニーズの定番になってしまうのでしょうか?偉大なる名作でもありますし、できたらじっくり上演して欲しいのが正直なところです。そしてこれらを見ているうちに、今一度宝塚のキャストで見てみたいと思う私なのでした。

追伸ですが、これだけ大きなハコでやるのに公式HPもなければ、一般売りをしない公演って珍しくないでしょうか?(それとも一般で発売していましたか?)
それとディーゼル役の方はどなただったのかしら?結構歌が上手かったような。。。