Good Bye,Good Guy,Good Fellow

汐美真帆ディナーショー「Good Bye,Good Guy,Good Fellow」
2004年11月14日(日)宝塚ホテル

「さようなら、いいヤツ、いい仲間」ってところのタイトルを冠したよーくんのDSが宝塚ホテルで行われました。退団を前にしてよーくんだけの「さよならショー」的な意味合いもあるでしょうが、公演と公演の間が短い昨今のスケジュールでよくぞやってくれましたという思いがあります。

行きたいとは思っていたものの、さよならだとチケットが取りにくかろうと思ったこと、それに梅田に詰めていたので無理だろうなぁとあきらめていました。ところがありがたいのが友!ここしか見に行けないという日曜日の夜のショーを見せてもらえることになりました。嬉しいですね。

そんな急な現場施工であったこともあり、全くの心の準備とかなくて、とにかくオーストリアから宝塚に戻ってきました(笑)って感じで宝塚ホテルに向かいました。ホテルに入ると、懐かしい友達の顔がたくさんありました。ぶっちゃけ、私は途中からハニー一筋の追っかけ生活に突入しました。愛を均等にわけられない度量の狭い私はよーくんを応援する生活から離れ、よーくんのファンの友人と接する時間が少なくなったんです。でも顔を見て「かつをちゃん!」と声をかけてくれる皆さんの温かさ、本当に嬉しかったです。こういう人たちがいたから、私はよーくんの応援活動から離れるのがつらかったのも正直なところでした。

さて、席についてまずはご飯です。思い出す限りで、私宝塚ホテルでDSに出たことあったっけ?って感じなんです。思い出せないんですよ。ですから今までと比較できませんが、DSの料理にしては思ったほどバッドではなかったです。ただ、カクテル類のオーダーに融通がきかないところがイマイチだと思いましたけど。

menu

魚介類のサラダ仕立て 彩り鮮やかなマンゴ風味のソース
鮮魚のポアレ茄子添え ソースクーリ・ド・ドマト
和牛フィレ肉のステーキ 蜂蜜風味の赤ワインソース
オレンジと蜂蜜のヴァバロア フルーツのゼリーを添えて
コーヒー
パンとバター

食後のデザートという食習慣がない点で、日本人でよかったと思います、私。どうしてこうもヴァバロアだの甘ったるいものを食後に食べられるんでしょう?カナダやヨーロッパに行った時も一つ一つのデザートがものすごくボリュームがあって甘ったるくて、毎回死にそうでした。できたらデザートを選べるようにしてもらえないでしょうか?>ホテル関係者の皆様

そんな中、テーブルの皆様も結構1人で来ている人が多かったようで、淡々とご飯を食べて、ガンガンと私は飲んでおりましたが、後ろの席にオギーやらゆうひくんやらがドカドカと入ってきて、しばらくしてから照明が落ちたのでした。

唄った曲は(出口で曲目リスト配布あり)

Ole Guapa
黒きバラ
地上の龍(「巌流」より)
NICA'S DREAM
素敵なあなた
Veni O Bella
こわれたオモチャ
風の記憶
星のかけら(「ゼンダ城の虜」より)
サヨナラの詩(「サザンクロスレビュー」より)
Something Anything
ルパン三世のデーマ
スペシャル・セミナー(「LUNA」より)
THE ROSE
[BIZET FANTASY]
血と砂(「血と砂」より)
美しき日々(「巌流」より)
望郷の賦(「アナジ」より)〜この世にただひとつ(「心中・恋の大和路」より)
[COPACABANA VARIATION]
ベサメ・ムーチョ
Best & Brightest(「JFK」より)
夜のボート(「エリザベート」より)
Il Testamento di Tito
Good Bye,Good Guy,Good Fellow
Platinum

もうすでに2004年12月のスカイステージ(CS放送)でこのDSの模様は放送されているので、ご存知の方もおられるでしょうね。そういう意味では間の悪いレビューではありますが。

全体として感じたことは、友人の言葉を借りれば「さよならショーをプレゼントしてもらった感じ」この一言につきます。
振り返ると、私はよーくんがまだ雪組で新人公演をしていた時代から見ていたことになりますが、曲の端々でよーくんを、雪組を見ていた頃、そして宝塚ファンになって盛り上がりが最高潮になってきていた時代の風景がさ〜〜〜〜っと頭の中をよぎったのです。よーくんを見送ると共に、私はあの頃の自分を振り返り、もう戻らない時間を思いました。「よーくんというひと」の中で最後に書きましたように、よーくんが退団することは、私の宝塚に対する一つの区切りになるだろうと確信したのです。そんな感傷と共に、ステージでのよーくんを見ていました。

舞台の話に戻しましょう。DSはよーくんと共に涼乃かつきちゃん、南海まりちゃん、花愛瑞穂ちゃん、初瀬有花ちゃんの4人の娘役さんが出演していました。どっちかというとダンサーなかつきちゃんに、歌や芝居の実力はありながら新公でもなかなか役付きに恵まれないまりちゃん、コーラス隊でそんちゃんと一緒の場面に出ていたこともあったことから顔が判別できた瑞穂ちゃん、ヴィンターガルテンでも歌の場面が意外と多かった初瀬ちゃん。思ったほど、娘役だけの場面が少なかったように思うんですよね。できるだけよーくんをバンバン出すって感じで、場つなぎ的になってしまって申し訳ないというところでした。そうは思ったけど強烈な個性で主役を邪魔するようなタイプの娘役さんじゃないから、雰囲気としては「お兄ちゃんと妹達」あるいは「ケーキ屋さんのパティシエとアルバイトのケーキ好きな女子高生」みたいな感じで、雰囲気が良かったです。

このDSは荻田先生の作品だったことから、昔の雪組時代の作品(凍てついた明日)や月組時代のオルフェネタとか出てくるかな?と予想していたけど、そうではなかったですね。このポスターでのよーくんの姿が物語っております「男役・汐美」をとにかく見せる、それの一言につきました。私なぞは、オールバックでキメキメな目線を飛ばす姿に「本当に堂に入ったよなぁ、いい男役になったのにもったいない」という思いが込みあがり、まさか涙が出るとは自分でも思っていませんでした。

全体の構成は、TANGO〜JAZZ、ノスタルジア、LUPIN、闘牛士、Jstyle〜Latin、
THE LASTという6つの構成で、中盤のLUPINのところはよーくん扮するルパン三世が盗みに入る、その時に邪魔な店員をスペシャル・セミナーで洗脳して、無事にフルートで盗み出す。そのフルートで大切な曲「ROSE」を吹く・・・なんていうストーリーがあったりして、うまいことつないでいましたね。さすがオギーって感じ。正直、観劇回数が少なかった月組時代の作品とか「これ何の曲?」ってのもありましたが(笑)特に後半の曲は懐かしさと共についついとうこちゃんの顔が浮かんできてしまいました。

中でも「この世にただひとつ」。この曲で泣かない汐美ファンはいないだろ?ですよ。あとでCSの特番を見たときに、彼女は本当にこの作品を東京でもやりたかったんだなぁと思いましたけど、私も涙涙で舞台を見ていたことを思い出し、上手くいかない世の中を憂いましたね。
そして私が生で見ることのできなかったJFKの新公、エリザベートの新公からも1曲ずつ。大切な大切な舞台だったんだよね、よーくん。最後のPlatinumまで、彼女の中の思い出を、一緒に振り返った1時間でした。

もちろん、宝塚のいろんなファンの方には「ダンスがなよっとしている」とか「歌が怒鳴るだけ」とかいろいろ言いたい放題、私もさんざん言われましたよ(苦笑)。このDSだって「歌がイマイチ」と言われると思いますよ。それが何か?って今は言いたいです。歌が上手くても心がない人たくさんいるじゃないですか。この後に及んでよーくんが見せる「男役を心底愛している」オーラは、ダンスがどうとか歌がどうとかそういうのを超越しているんですよ。ナチュラルな男役って何?、そんなの宝塚に必要なんでしょうか?と喧嘩売りたい気分でした(笑)

宝塚ってプロでありながらアマチュアリズムを持っていることで成立する不思議な劇団ですが、その中で本当に大切なものっていうのは目に見えない「愛や想い(あるいは思い込み)」じゃないかと改めて思ったんですよね。その愛や想いがあるから、ファンは生徒に対して普通じゃ考えられない時間とパワーとお金を使って応援しているんじゃないかと。そんな「男役ってのはこうだ!」という想いを持った生徒が退団してしまうことを、心底残念に思うのです。

スカステを冷静にテレビでご覧になっている方に、どれほどその場の雰囲気が届くかはわかりません。でも、その場にいた多くの方は(少なくともよーくんファンは)よーくんが男役をどれほど愛していて、そして今、この時まで応援してくれたファンに対してどれほどの感謝を込めて唄っているか、きっと感じ取ったはずです。少なくとも私は、男役の汐美真帆を見直しました。最後の星組公演真っ最中です。残念ながら千秋楽を劇場の中で見届けることはできませんが、きっと彼女なら最後の最後まで「いい男役」を演じきってくれることでしょう。
よく頑張ったね、よーくん。本当に楽しい時間をありがとう、そういいたい夜でした。そして、超忙しいところを演出してくれたオギー、あなたは本当にいいヤツです!