レミゼラブル・ガラコンサート

レミゼラブルのガラコンサートに行きました。レミゼ、本当に懐かしい響きです。というのも、禅さん(石川)がマリウスをやっている最後の公演の後、1回観たか観ないかで最近は観劇から遠のいているからです。禅さんのマリウスでいい思い出にしたかったというのもありますし、宝塚活動が忙しくなったというのも原因の一つです。

東宝の思惑は、来年度にレミゼを再演する布石なのかどうかはわかりませんが、とにかく現キャストと旧キャストで行うガラ・コンサートの企画は素晴らしいと思いました。というのも宝塚でエリザベートを上演し、OG+現役でガラ・コンサートをした時もそれは舞台がまるで蘇ったかのような感動を得たことがあったから。役者次第で歌だけでも十分、いや十二分に舞台を再現することができるからなのです。むしろ歌に専念できていいものが聴けるのではないかとさえ思うのです。

7月2日の初日から7月20日まで東京芸術劇場で上演されます。私は3日の夜公演に行きました。初日から4日までの公演というのは、いわゆる旧キャスト(今井、鹿賀、岩崎、石川)が出る公演なのです。(岩崎、石川)が私好みなんですよねぇ。エポニーヌの笹本さん(ピーターパンの人)、コゼットの剣持さん(剣は難しい字)、テナルディエの駒田さん、アンジョルラスの吉野さんは初観劇でした。

上演時間は休憩15分を挟んでトータルで2時間30分でした。コンサートだからかなりカットしているものと思っていたところ、見せることが重要と思われる部分以外は殆ど唄っていたように思います。もっとも最近のバージョンは昔より時間が短縮されているので、正しい比較ができているかはわかりませんが、見ていて話のつじつまが変になることはなかったし、扮装しているとは言え、かなり見せ方が上手いなと思いました。役者の出入り、後ろに向かせるタイミングなどで、生と死を表すところなど、憎いなぁと思いました。

で、実際どうだったのかというと、もうこれがただただ感動。安っぽくなってしまうのを覚悟で言えば、作品の重厚さに圧倒されて号泣してしまいました。この作品、決していろいろあったけどまぁ忘れて「明日があるわ」とすかっと行くような話でもなく、人は現世では自らの罪をあがなうために他人のために生き、死によって罪が昇華するというような、どこか啓示的なものがありました。あぁ脳天気な話じゃないなと深いなぁと。

生活している中で混沌としたものを抱え、閉塞感と隣り合わせて生きている現状と登場人物たちと感じあうところがあり、きっと私の中ですとんと落ちたのではないかと思いました。そして彼らがそうであったように今を熱く生きることを渇望しているのかもしれない・・・と改めて自分自身を分析することができました。再演を繰り返す、リピーターが多いというのは、作品を通して観客が一体感を持てることの証明ではないかと思うのです。

ジャン・バルジャンの今井さん。
初観劇です。いや、歌が上手い。体が大きいのでとてもアシュレをやった人とは思えません(笑)歌が上手いといっても誰かのようにマイ・コンサートにはしませんよ。きちんと演じているからきちんと映像が頭に浮かぶ素晴らしい歌でした。涙を流しての熱演です。

ジャベールの鹿賀さん。
鹿賀さんは今までバルジャンでしか見たことがありませんでした。だから初ジャベ。こっちの方が似合っていますねぇ。いや、追い込むところとか上手いったらありゃしない。もちろん村井パパも好きなんですが、今井さんとのコンビを見てしまうとあぁすごいと。ジャベール時の方がきちんと歌詞を聞き取れま
した(汗)。

ファンテーヌの岩崎さん。
もう聖母です。たたずまいだけで腕に抱かれて眠りたいです(爆)年齢は確かに重ねていますが、なんというかオーラが違いすぎて、今まで見た他のファンテーヌと比較できません。すいません。大好きなんです。今回観られて本当によかった。

マリウスの禅さん。
やっぱりフランツよりもマリウスのイメージだわ、私の中では。多分マリウスをやることで本人もかなり若い感じで出てきました(メイクも含めて)でも第一声でそういう脚色はどうでもよくなるくらい、恋する青年・マリウスでした。でもって、コゼットやエポニーヌにめちゃくちゃ優しいんだよねぇ。エスコートぶりが違います。本当に観られてよかった。

テナルディエの駒田さんと妻の森さん。駒田さんってこんなに面白い人だったんですね!客席だけでなく、キャストまで笑わせてどうするって感じですが、森さんともどもノリノリで、まさにエンター「テナー」酒場のシーン楽しかったなぁ。

アンジョルラスの吉野さんは、正直歌は周りと比べると実力的に落ちます。音程は合っているけど、声量がないんですよね。が、決して手を抜いたりしないで、ものすごい気迫をもって演じているのがものすごく印象いいし、なによりビジュアルでは圧勝なので、それはそれでいいかなと(笑)個人的には今アンジョルラスがすごく好きなので、今−禅でも観たかった気もします。

エポニーヌの笹本さんは、舞台上でくしゃみだかを連発していたようなので今ひとつ体調がよくなかったのでしょうか?私の中では歌穂ちゃんのエポがインプリンティングされているのでどうしても比較してしまいますが、でも悪くはなかったと思います。特に最後ファンテーヌとバルジャンと唄う歌はきれいだったし。

コゼットの剣持さんは、誰かに似ているなぁとずっと考えていたら、ぐんちゃんに似ているんだなぁと。ちょっと顔色が悪いのが気になりましたが。でも歌は上手いですねぇ。高音がすうっと出て、マリウスとのデュエットも気持ちいいくらい。いや、上手い。でもって芝居っ気もあってとてもいい感じでした。

東京以外にも大阪でも、そして12月には千葉や川崎で再演するようですが、試みとしては面白いですね。そしてできたらCDを出してくれるともっとうれしいなぁと思ったコンサートでした。

公演情報in CONCERT
LesMiserables
2004年07月02日〜7月20日
東京芸術劇場中ホール
公式ホームページ 
http://www.toho.co.jp/stage/lesmis/les_on.html